林
お疲れ様でした、素晴らしい演奏を聴かせていただきました。
日食
ありがとうございます。聴いていただいてありがとうございます。

林
改めて「水流のロック」を聴かせていただいて、すごい何だろう・・・楽曲自体の素晴らしさっていうのはもちろん、完成度というか全体の流れのバランスもすごくよくできてて。ごめんなさいね、言い方が失礼になっちゃうかもしれないですけど。
日食
全然、なんでも言ってください。
林
ピアノとドラムでやってはるじゃないですか。けど、なんかピアノとドラムだけ聴いてても、バンドアレンジみたいな流れがピアノで構成されてるのかなっていうふうに個人的には思って。ここからベースがちゃんと歌うというか、展開するようになってたりとか。途中の2番の歌詞の・・・
日食
歌詞もこんな立派につくっていただいて。私自分の曲こんな立派にパネル出たの初めて見ましたよ。
林
よかったらね、お家に持って帰って。ハッハッハ(笑)
日食
だいぶ大きいですけど大丈夫かな?(笑)東海道新幹線さんに怒られます。特大荷物どころの騒ぎじゃない(笑)

林
いやあ、構成もすごくて。そうだ、ちょっと聞こうと思ってたことをメモってきたんですけど・・・
日食
わざわざありがとうございます。
林
ちょっと色々聞きたいなと思ってて。
日食
ありがとうございます。
林
「挑戦者」の曲が僕、なんか個人的にはすごくエモく刺さって。
日食
おお、「挑戦者」。
林
何だろう。何かに挑んでる、現在進行形で戦おうとしてる人にエールを送ってるような感じがしたんですよ、僕は。どういう思いでつくられたっていうのはありますか?
日食
「水流のロック」は、つくったのが2013〜2014年ぐらいとかですかね。自分が大卒でいわゆる社会人というものになる年。22〜23歳ぐらいの時に書いた曲ですけど。本当に理由は何もなく、いわゆるピアノ弾き語りっぽい曲がそれまでは多かったんですよ。ミドルテンポやスローテンポで、お客さんに息を止めてじっと聴いてもらう曲が多かったんですけど、もともとは自分バンドがやりたかった人間なんです。
林
はい。
日食
なので、この「水流のロック」とかでも、さっき林さんが言ってくださった「ベースラインがここにあって」とか「ここから全員で合流して」とかっていうのをまさに頭の中で考えて、最終的には「ピアノ無しのバンド曲にしようかな」ぐらい考えてつくってたんです。
林
なるほど。じゃあ僕が感じたイメージは合ってたってことですね。
日食
もうそのとおりです。
林
バンドのそれぞれのパートが凝縮されてピアノになってるって感じがすごくして。
日食
そうですね。まさにそういう、最後はバンドの曲になればいいなっていうようなイメージでつくったんですけど。まあその、ピアノ伴奏の曲だけだとやっぱりステージで、言ってしまうと地味なんですよ。立たないし動かないし。お客さんがやっぱり良い曲をどれだけ浴びようが飽きは必ず来るんで。
林
はい。
日食
飽きさせないアッパーな曲をここで何かつくらないといけないっていうところで、本当に何も考えずにつくったのがこの「水流のロック」だったんです。

日食
なので、言ってしまうとけっこう戦略的というか。
林
だから、「よくつくられてるな」って思ったんですよ。イントロがキャッチーで聴かせて、もちろんメロディックなところも良いですし、2番の終わりの間奏が良いサビとメロと歌詞を聴かせたあとに上昇していく感じ。
日食
はい。ちょっと変なコード入れてみたりとか。
林
上昇してて半音が入るじゃないですか。
日食
入りますね。
林
あそこが、バー!って。
日食
ほんとですか?嬉しい。
林
あそこがすごくエモくて、解放された感じがあそこですごく出るから。僕、映像が浮かぶような楽曲がすごく好きで、まあ仕事柄そういうところがあるんですけど。でも普通のポップスでもそういうのが浮かばない曲もあるし、良い曲でも浮かばない曲っていうのはあるんですけど、日食さんの曲は、映像とかMVが勝手に頭に出るんですよ。
日食
わあ、嬉しいです。
林
歌っていることだったり、もちろんやっぱ楽曲だけじゃなくてこの歌詞がすごく個性的というか。すごく刺さるところがたくさんあるからその言葉でイメージがすごく出るので。ちなみに僕はサウンドトラックといわれる、日本でいうと「劇伴」っていうのをつくるお仕事をしているんですけど。

林
日食さんがつくられているような楽曲とはちがくて。劇伴は発注する人が、お客さんが居はるんですよね。「こういうドラマとかアニメの、こういう曲をつくってください」っていうのが。
日食
お題みたいなものがあるんですよね。
林
音響監督さんとか選曲家っていう人たちから、メインテーマ「ラブロマンスの曲」「コミカル」とか、「不穏な時」みたいな。なんか2行ぐらいで「破壊の天使が降りてきて大破壊を行う」みたいなことが書いてあって。それを見て楽曲をつくるから「文字からイメージをつくる」ことをすごく日常的にやってるんで、日食さんは普通の文字よりすごく個性的な歌詞を使わはるなと思って。これはどういうお育ちをされるとこれが出てくるのかなっていうのはすごく知りたくて。本をめっちゃ読んでたとか・・・
日食
本はそんなに読んでなかったんですけど、決まった1冊を何十回読むような子どもではあったんです。
林
わかりますわかります。だから普通の人では気づかない微細なディティールとかに・・・
日食
ビビッとくるというか。
林
そこをずっとループする。
日食
そうですね。「言葉から味がする」じゃないですけど、この言葉めっちゃ美味しいからもう一回食べたい、もう一回食べたい。このフレーズ、このセンテンスすごい好きだからもう一回食べたいって何周もできちゃうような人間なので。そういう言葉から普通の人が1思い浮かべるんだとしたら、私は20〜30ぐらいいってる人間で。

日食
「じゃあ自分が吐く言葉はそれにちゃんと値するように、自分が吐く言葉も誰かが食べた時にもう一回食べたいって思うものじゃないとダメだよ」っていうふうに自分に言って曲を書いてるとこういうふうになる、みたいな感じですかね。
林
良いっすね。まず「吐く言葉」っていうのが良いですね。
日食
すみませんお下品な・・・お下品なちょっとお育ちが、お国がね・・・知れちまいますけれども(笑)

日食
本当にそうですね。林さんが今おっしゃった劇伴のつくられ方を逆に私は全然知らなかったので、すごい興味はあったんですけど。
林
だからもうたぶん、同じ音楽という大きいジャンルでは一緒ですけど、アーティストの方だと全然業界もちがうし。僕ら劇伴作家は自分たちを「商業作家」だと思ってるんで、自分の個性を出すとかというよりは、たとえば料理屋さんで「お客さんにこういうのが食べたいって言われたらそれを自分なりにつくる」っていうことをやってるだけなんで。
日食
こっちは「創作料理」みたいなことになりますよね。
林
そうそう!それで好きな人が足しげく通うみたいな。だから本当にさっき言ったキャッチーな歌詞づくりだったり、サビのところの最後のピアノのダーン!ってとこ。あれがめっちゃ僕は刺さって。
日食
ありがとうございます。
林
一番良い最後のサビの一番最後の1行が終わったところにあれがカーンって入るじゃないですか。しかも曲のブレイクのところにそれが入るから、高音でそれがファーって広がる感じがして、これはたぶん、「ライブ映えする」っていうところを狙われたのがそこらかしこに出てるなっていうのをすごく思って。
日食
はい。
林
特にあと、そこと途中の間奏のところもそうですし、こういういわゆる盛り上げ系の曲だったら、一番最後ジャジャジャジャーっていって終わるのかなって思ったら、けっこう低音でバカン!って切るじゃないですか。
日食
そうですね、わりと尻切れとんぼな感じで。
林
そう。あれがなんかこう、居合抜きをされた感じの。
日食
なるほど!
林
ダンって。あっ!っていって。わーって。
日食
気づいたらやられてる?
林
わーってやってる感じがすごくして。
日食
いやあ、嬉しい。「居合抜き」って良い言葉ですね。
林
言い方があっているのかわからないですけど、すごく緻密につくり込まれてるけど、それを見せない情熱だったりエールだったりっていうものがそこらかしこに。この「僕らの尾ひれ胸びれは 逃げるためだけに生えたわけじゃない この身を捩って前にゆく」ですか。

日食
そうですね。この辺の歌詞は本当に1行目でもある通りなんですけど、「流れもしないよ停滞のさなか」っていうのは本当に音楽始めて6〜7年目ぐらいとかなったんですかね。「いつになったら次のステージに行けるんですか?」っていう問いをまず最初に投げなきゃいけないっていうふうに。
林
そうなんですよ。僕がすごく刺さったのは、昨日ちょっと友人とご飯食べながら話してたことがあって、音楽聴いて歌詞聴いて感動するとき、人はなぜ感動するのかっていう話をしてて。たとえば恋愛の話とか、たとえばミスチルの桜井さんだったりB'zの稲葉さんとかいろんな歌詞書かれていろんな恋愛の話を書かれるけれども、でもあれって全部体験したことなのかって言ったらそういうわけではないじゃないですか。
日食
はい。
林
でも、いろんな人が体験してるであろう詳細な歌詞が書いてあると、それを見た人は「あ、私のこと言ってる」とか「僕のこと言ってる」、「なんでわかるんだろう」って共感して涙が流れることがあったよね?みたいな話をしてて。
林
それでいうと僕は、同じような思いを劇伴作家になる前に体験してて。なんでデビューできないんだろう、自分の楽曲が悪いのかやり方が悪いのか、どうなんだろうっていってあがいてた頃のことをすごく思い出して、すごくそこで共感して感動したんですよ。
日食
なるほど。
林
だからそれでいうと、やっぱり日食さんの書かれる歌詞っていうのは共感するところがすごく多くて、でもちょっと「これってどういうことなんだろう」って思うところが間に入ってて、それが知ろうとしたくなるんですよ。ずっと聴いてて、何周も聴いてるとこれってどういうことを言おうとしてるんだろうって。
日食
うん、うん。
林
あれですよ、「ラッフィングポップ」(歌詞)ですよ。
日食
はい(笑)
鳴らしてくれたらラッフィングポップ
泳いでいけるよseems a back flow
泳いでいけるよseems a back flow
林
「ラッフィングポップ」ってなんだろうって。しかも、2行目の「泳いでいけるよ」のあとは英語で書かれてるじゃないですか。
日食
そうですね。
林
でも「ラッフィングポップ」はカタカナなんですよ。これはなぜこんなことが起こってるんだろうと思って「ラッフィングポップ」調べたら、「日食なつこによる造語です」って書いてあって。
日食
AIさんが。ハッハッハッ(笑)
林
そうそう(笑)「あ、造語なんだ」って。でも造語ってことは伝えたいことがあるから、無い言葉をつくってるってことじゃないですか。それってどういうことなんだろうっていうのがなんか聴いててすごく楽しくて。
日食
はい。
林
だからファンの方ってたぶんそういうところとかもあっていろいろ聴いて考察されて、どんどんどんどん好きになっていくのかなっていう。

林
日食さんがちっちゃい頃に本を何回も読んでたっていうことがここで行われてるなって。ファンの方からすると。何回も聴いてもっともっと好きになっていくっていうのがつくられてるんじゃないかなと思って。
日食
そうですね、造語はでもけっこうやりますね。でもなんでやるかって言われると、やっぱ「趣味」ですかね。
林
だから言葉遊びとかがお好きなんですよね。
日食
そうです。単純に、別に理由とかはなく。
林
ちなみにこの「ラッフィングポップ」について、こういうところでお話しされたことってあるんですか?
日食
いや、ないです。正直触れた方は林さんがはじめてです。
林
本当ですか?(笑)まじっすか。
日食
誰も聞いてこなかったので、そこ聞かれるんだってびっくりしちゃいましたけど。
林
ちなみに、ご本人からこれは説明してよかったりするものなんですか?
日食
もちろんもちろん。これはもうそのままですね。英訳すると「ラフ(laugh)=笑う」、「ラッフィング(laughing)=大きい声で笑ってる」。「でかい声で笑いながらポップなことをしてやろうじゃないか。あなたが鳴らしてくれたら、その音にノッてでかい声で笑いながらラッフィングポップしてあげるよ」っていう気持ちで。本当にそれだけで何も考えずにつくった造語。

林
へぇー、なるほど。
日食
はい。ただ英語表記にしちゃうとなんかややこしい気がして、なんか目で日本人の人がパッとキャッチーにつかまえられる言葉だと良いんじゃないかなっていうので、わざわざここはカタカナにして。次の行は普通に「seems a back flow」。これは英語のセンテンスなのでこれはそのままで良いかなっていうので、使い分けたりはしてました。
林
やっぱ日本の人って漢字も使えるしカタカナも使えるし、ひらがなも使えるし英語も入れられるし。他の言語をうまく入れてそういうことできるのがすごく面白いし、他の国の人だと理解できないけど、日本の人だと「なるほどな」ってニヤッとするようなとことかつくれるじゃないですか。それってすごく恵まれてるしありがたいことですよね。
日食
そうですね。言語を自在に使えるっていう自由な国でもありますしね。
林
これの「伝説になるさとうそぶいた」っていう一節があるじゃないですか。
日食
はい。
林
でも、これが一番最後は「伝説になるさとうそぶいたことほんとにしようよ水流のロック」っていうのが、僕はすごく好きで。
日食
ありがとうございます。
林
物語が動いてるじゃないですか。
日食
はい、そうですね。
林
チャレンジして、どうなるかわかんないけど進もうよっていって、それをまたさらにやろうとしてって。物語が動いている感じがすごく感じられて。日食さんの別の曲でもそれをすごく感じて、たぶんすごく皆さんは日食さんの曲を聴くと勇気もらえて、俺もがんばろう私もがんばろうって思えるような楽曲だったり、歌詞だったりっていうのがつくられてるなと思ってて。どういう人に向けてつくられてるんですか?
日食
誰にも向けてないというか。活動を始めて今17年目なんですけど、共通の感覚としてはこの活動を始めた1年目、もしくはこの活動を始める前の16〜17歳の自分が、17年間ステージに登った時に客席にずっといるっていう感覚なんですよ。それはお客さんとしてじゃなくて「監視者」として。「日食なつこになる前の私」がずっとどこの現場にもいて、頼むから変なことすんなよって。
林
ハッハッハッ(笑)
日食
もうそういうふうに本当に見られている感覚なんですよ。頼むからひよったらステージ降りてねっていう監視者としてずっといるので。

日食
その日食なつこになる前の私が呆れないように続けていかねばみたいな感じでやってるんです。なので、そいつを満足させようと思うとこういう歌詞がずっと続いて出てくるっていう感じなので。
林
ある種、自分を奮い立たせたりとか襟を正したりとかっていうようなところも歌詞に入っているってことですか?
日食
だと思いますね。
林
いやあ、熱いなあ。ちなみに普段って、どうやってつくられてるんですか?なんかこんな素人みたいなことを・・・(笑)その、ピアノでやらはるのか、僕らが使ってるようなDAWと呼ばれるソフトを使われるのか、komakiさん(ドラム奏者)とセッションをされながらつくっていくとかなのか。
日食
全然曲によってちがいますね、セッションはほぼないですね。
林
あ、そうなんですね。
日食
もう完全に自分始まり自分終わりで。「水流のロック」は、何が一番最初だったかなサビだったかな?サビのフレーズがメロと一緒に歌詞がポンって降りてきて、「なんかこれかっこいいから使えそう」ぐらいの感じでしたし、「ログマロープ」の場合は、完全に一番最初のリフ始まりですね。もう一番お金がなかった時代、過去一番安いアパートに住んでた時代に、隣の近隣住民と戦争をしながら、こんなところでつぶれてたまるかという気持ちを叩きつけたのがあのリフだったりとか。
林
自分がやりたいことをがんばってるのに、近隣住民に文句を言われるって一番僕らかわいそうですよね。
日食
かわいそうですね(笑)
林
しかも、がんばらないとダメな若い時期に。
日食
いや、そうですよね。職業難しいなと思います。
林
ごめんなさいと思いながら、でも・・・
日食
でも、俺たちもがんばってるんです。
林
そうなんですよね(笑)そっか。けっこうやっぱ僕、楽曲をつくって歌詞がっていうのがあんまり。歌詞を書くこともあるんですけれども・・・
日食
劇伴だと音楽に特化した感じですよね。
林
そうですね、その方が多いんで。日食さんは歌詞と一緒にメロディーが降ってくるっていうことの方が多いんですか?
日食
えーっと。名曲になる確率が高いのはそれって感じですね。
林
しかもそういうのって早いですよね。
日食
早いですね。
林
あんまり悩まないですよね。
日食
そうです、何がやりたいかが一緒に出てきている場合はすごい決まってるんで。
林
悩んで苦労したとかってあんまり関係ないですもんね。
日食
そうなんですよね。「どんだけ悩んでこれぐらい時間かかりました、イコール名曲」では全然なくて。

林
そうなんですよね。
日食
片手間でつくった時の方が良いみたいなことも。
林
がんばったのに子どもにおいしいって言われない料理をつくった時の気持ち。
日食
悲しいですね。(笑)
林
そうそう。がんばったのになあって思うけど、でも「がんばった」と「美味しい」はイコールじゃないんだなっていうのは、普段の曲づくりですごく思って。
日食
曲づくりのみならずって感じですよね。「こんなに私たちこの仕事がんばったのに」と「素晴らしい仕事になってるかどうか」って、本当につながらないなって思いますね。
林
そうですよね。でもやっぱりそうやって自分が良いなと思うリフだったり、良いなって思う歌詞がポーンと出てきてっていうのは、自分の中のフィルターがすごく整った瞬間にサッて出てくるなって自分では思ってて。悩むこともあるんですけど、悩んで1日2日寝てどうしようかなって子どもを迎えに行く自転車乗ってたりとかする時に、ファーって思い浮かんだりとかっていうことがすごく多くて。
日食
はい。
林
日食さんはどういう時にアイデアが降ってくるっていうことが多いですか?
日食
今、林さんがおっしゃった、お子さんを迎えに行く時の自転車。

日食
今こういうふうにやられましたけど、「両手塞がっている時」が多いです。
林
あ、一緒だ!
日食
ですよね!何かをこう、調べられない時って良いですよね。
林
僕、よくインタビューとかで話してるのは、自転車か散歩してる時か、シャワー浴びてるとか歯磨きしてるとか、何かをしてるけどこれをしようって考えてない時。自転車をこいでる時にこう・・・
日食
「右足をこいで、次は左足」とかね。
林
そうそう。歯磨きも「右斜め奥をこういうふうに」とか考えないじゃないですか。
日食
はい。
林
何かしてるけど何もしてない時って、脳がニュートラルになって降ってきやすいのかなっていうのは思って。
日食
すごい思いますね。それでいうと、私は山奥に隠れ家があるんですけど、山奥にたまに帰って草がボーボーになってるんで、電気の機械で草刈りをしなきゃいけないんですよ。鎌とかじゃもう追いつかないので。
林
すごい。僕もめっちゃやってますよ。
日食
あ、そうなんですか。
林
庭があって、庭の草がめちゃめちゃ生えるじゃないですか。
日食
ああもう、夏場は大変ですよね!
林
こんな話をして良いのかな?(笑)
日食
ハッハッハ(笑)
林
僕はあの、マキタのあれで・・・
日食
マキタ!もうマキタ一番良いです。今日一番盛り上がってる(笑)

林
ブルーのね(笑)ブルーとグリーンの・・・
日食
あれですか、バッテリー式ですか?
林
ああそうです、あれをガチャッてやって。
日食
18Vだ、6Aだ(笑)
林
ハッハッハ(笑)あれですね、マキタのリンク先を下に出しといてもらったり・・・
日食
そうですねこの辺とかにこう(笑)
林
マキタかっこいいですよね。
日食
かっこいいです、使いやすいです。バリエーションもあるし。・・・なんの話だ(笑)
林
そうだ、草刈りのやつ!
日食
そうそう、草刈りしてる時にけっこう出てきますね。
林
いや、わかる!草刈り。だから僕、楽譜とか全然書けない人間なんで、音声メモに汗だくになってる時にこうやって。あれの曲、「タタタン、タタタン」みたいな感じで、「BPMこれぐらいで」、「楽器これ使って」みたいな。録音して、またこうガーって(草刈り)やって。
日食
林家の近隣もけっこう盛り上がってそうですね。林家のお父さんがまた不思議なことしてるって(笑)
林
そうなんですよ。外で思いついたりとかされた時どうするんですか?
日食
家の中一旦入りますね。汗だくのまんま機械一旦止めて。玄関とかにメモ帳置いてあるので。
林
あ、一緒。
日食
そこに駆け込んでワーって書いてコードだの歌詞だの書いて、そしたらまたウィーンって始めて(笑)何やってんだろうなと思いながら。
林
いやでもそれ一番良いですよね。
日食
健全ですよね。
林
だからピアノの前でうんうん言ってるのって、一番出が悪いというか。コード進行を考えたりとかちょっとこのコード進行をもうちょっと複雑にしたいなとか、そういうことはあれですけど。大枠だったり世界観だったり、フックになることをつくったりっていうのはそういう時の方が一番出やすいのかな。

日食
そうだと思います。大枠はやっぱり遠くから見てないといけない気がするので。大枠を見るのにピアノの前にいるとあんまり捗んないっていうのがすごいわかりますね。
林
そう、なんか森を見れないというか。1本の木を見すぎちゃう気がしていて。
日食
ピアノの前にいるときは1本の木で、森を見るときは・・・草刈り。
林
そうそう、マキタで。
日食
マキタで(笑)
林
次作は絶対マキタを入れてほしいですね。
日食
ちょっとタイアップ狙っている(笑)
林
タイアップ(笑)
日食
ピアノ弾き語りで電動草刈り機のCMってあんまり聞いたことないですけど。
林
いやぁ、すごいな。今日まさか日食さんとお話ししてマキタが出るとは思えなかったですね。
日食
本当です。ちょっと共通項が多かったので。
林
ハッハッハ(笑)

林
お話は戻るんですけど、「水流のロック」の時はレコーディングってどういうふうにされたんですか?最初にピアノやるんですか?
日食
これは同時でしたね。ピアノ・ドラム・ベース3人が、まあそのひとりのドラムがkomakiさんだったんですけど、その3人が初めましてでスタジオで会って。
林
あ、初めましてだったんですか?
日食
はい。初めましてで3人とも知らない人状態の時に、集まってスタジオで話をして、「じゃあここはこういうふうにしようか」、「ここは6連入れてみよう」みたいなことをいろいろいろ揉んで。
林
そこで6連にしようとか決まったんですか?
日食
そうです。決まったというか、私は何も技術的に変えようがなかったんで、もうベースとドラムのおふたりにほぼアレンジは任せた状態で、「それも良いと思います」、「それもかっこいいと思います」みたいないろいろアイディアを出してもらって。それで何テイクか録っていって、微調整して、じゃあこれで決めて録るかっていうのが、皆さんの耳に届いている「水流のロック」って感じです。
林
あれはもちろん別部屋で?
日食
別部屋ですね。
林
「せーの」でやるってことですよね。
日食
そうです。
林
なるほど。そっか、そういうつくり方されてたんだ。
日食
でもそれがベースになって、今もそんな感じですね。分けて録ることもありますけど、やっぱみんなで一緒にやると単純に楽しいっていうので。

林
そうなんですよ。自分だと出ないアイデアが絶対そういう時いただけるじゃないですか。
日食
そうですね。
林
それを「こうしてみたりとかできる?」みたいな、キャッチボールが楽曲を良くするなと思って。あれができるのって本当にスタジオならではというか。
日食
はい。
林
そっか。やっぱりそういうつくり方をされていてこんだけ素晴らしい曲になっているってことですよね。
日食
いやあ、でも元はやっぱバンドやりたかった人間だからっていうのは根底にあると思いますね。これで私は「ピアノ弾き語りニストです」、「ソリストです」みたいな感じだったら全然アプローチは変わっていたと思うので。やっぱりバンドやりたかったけどいまだにやれてない、そしていまだに何かやろうとしている人生の続きっていう形。
林
バンドはでも、今やろうとしているっていうのは、やろうと思えばいくらでもできる境遇に居はるわけじゃないですか。
日食
いやあ。でも、ピアノじゃないんですよやりたいのは。ピアノじゃない楽器で、「ピアノ無しバンド」がやりたかったんですよ。
林
あぁ、なるほど。
日食
なので、それ以外の楽器何ひとつ弾けないんでできないんですけど。「水流のロック」とかも、本当にギターとベースとドラムに全部お願いして、そのメンバーが揃ったらバンド組んで「水流のロック」やろうって。それができなくてまだピアノでやってるぐらいの感覚なので。
林
なるほど。
日食
全曲そうですね。
林
じゃあ、自分の表現としてピアノを絶対入れたいっていうのがあるわけではないってことですか?
日食
最初はそうでしたね。いつかは全部別のパートに変わるっていうつもりで書いてましたけど。でも「ピアノでちょっと変な伴奏で弾いてる奴がいる」っていうのが看板になってからは、ピアノは外せなくなってしまってっていう感じですかね。なので、全然別の世界線では「全くピアノを触ってない日食なつこ」もいた可能性があるっていう。

林
でもそれは別名義でやったりとか、将来的にはあるじゃないですか。
日食
今からですか?どうなんですかね。でも私はやっぱいまだに自分の懐に誰かを入れるのが苦手なまんまで。そこから動けないでいるので、そこが解き放たれたら何か始めるかもしれないですけど。
林
なるほど。でもそういう、昔苦手だったものが時間の経過だったり自分の経験だったりっていうのが積み重なっていって、ある時からそれが全然苦じゃなくてむしろ楽しくなったりとかって、人生のきっかけや節々でなんかあるなあっていうのは思ってて。そっか、でもいつかその「ピアノ無しバンド」はすごく聴いてみたいですけどね。
日食
本当ですか?組んだらご連絡します。「林さん、お世話になっております。バンド組みました。」って(笑)
林
ついに!って?(笑)
日食
ついに!「つきましてはアレンジのお願いを」って。
林
ハッハッハ(笑)すごいもう、恐縮しちゃいますね。
日食
いえいえ。
林
改めまして、今日は日食なつこさん。本当にたくさん楽しいお話を聞かせていただいて、ありがとうございます。
日食
いえいえ、こちらこそです。ありがとうございます。
林
いやあ、もうあれですね。今日の締めは、「マキタさん、お仕事をお待ちしています」という。
日食
ハッハッハ(笑)

林
僕たち愛用しています。
日食
そうですね。使わせていただいてますので。勝手に楽曲書いて送りつけるかもしれませんので。
林
そうですね。「庭の草を刈っている時が一番アイデアが出る」っていう話が出たんで。今日は素晴らしいお話をたくさんありがとうございました。
日食
ありがとうございます。